たとえば、昨年10月22日投開票の衆院長崎4区補選や、先月28日の衆院島根1区補選では、公明党は自民党の公認候補に告示日の前日まで推薦を出し渋った。
後者は昨年11月に亡くなった故・細田博之前衆院議長の弔い合戦だったが、生前の細田氏による女性記者に対するセクハラ疑惑に公明党の集票の原動力である創価学会女性部が反発した。さらには「10増10減」により新設される衆院東京28区をめぐって自民党都連と公明党が対立したことも、少なからず影を落としている。
そもそも自公連立について、公明党はドライな姿勢を貫いている。
公明党に「連立野党はない」
自民党が下野した後の2010年の自民党の党大会に公明党の山口代表が招待されたが、公明党の党大会には自民党からの来賓はなく、谷垣禎一総裁(当時)がメッセージを寄せたのみだった。この時、「連立与党はあっても、連立野党はない」と、ある公明党関係者は語っている。「自民党のためなら、地獄の底までついていく」という気持ちはさらさらないということだろう。自民党に猛烈な逆風が吹きやまない今では、なおさらだ。
次期衆院選では大きく議席数を減らすと言われている自民党だが、それは公明党の組織票を計算に入れての話である。頼りとする公明票が離れればどうなるか。それは4月28日投開票の衆院東京15区補選の結果を見るとよくわかる。ファーストの会副代表の乙武洋匡氏は1万9655票しか獲得できず落選した。小池百合子東京都知事が全力で応援したにもかかわらず、9人の候補者中5位という惨敗ぶりだった。
本人の抜群の知名度と万全な支援にもかかわらず、無様な結果に終わった理由は、乙武氏の過去の女性スキャンダルを創価学会女性部が嫌ったためだった。もっとも選挙戦が始まると、公明党と蜜月関係にある小池知事の懇願を受けて創価学会の一部が乙武氏の応援に動いたが、それでもひどい結果だった。