後半国会の最大のテーマといえる政治資金規正法改正をめぐり、自民党と公明党は法案の共同提出を諦めた。両党は5月9日に改正案の概要を取りまとめ、合意できなかったパーティー券購入者の公開基準額についても、公明党の山口那津男代表が「方向性は確認できた」と述べるなど、前向きな姿勢を示していた。
しかし、国民の理解を得るためには寄付と同様に公開基準額を「5万円超」とすべきと主張する公明党に対し、それでは所属議員の死活にかかわると自民党が強硬に反対。「10万円超」の公開基準額を譲らず、自民党は独自に法案を作成せざるをえなくなった。
「自民党には、本気で政治改革に取り組む気持ちがないからだ」
政策活動費をめぐり両党に隔たり
自民党内では公開基準額のさらなる引き下げについて反対する声がある一方で、このようにひたすら「10万円」にこだわる執行部の姿勢を批判する声もある。
というのも、自民党は衆議院では単独で過半数を制しているが、参議院では過半数に足りず、単独で法案を可決・成立させることができない。もし本気で政治改革に取り組もうとするのなら、公明党に対してもっと真摯(しんし)に向き合って、譲歩しても法律を成立させようとしたはずだというわけだ。
もっとも公明党にすれば、自民党に起因する「政治とカネ」問題に引きずり込まれてはたまらないという気持ちがあるから、「5万円」から妥協するつもりは一切ない。パーティー券と同様に問題となっている政策活動費についても、両者の隔たりは大きかった。自民党は大まかな項目ごとの公表でお茶を濁そうとする一方で、公明党は明細書によって詳細に公表すべきという主張を曲げなかった。
20年以上も連立を組んできた自民党と公明党だが、ここにきてその関係に変化が見え始めている。