「小池知事のサプライズ、小池劇場は有名です。けど、石丸市長もいきなりメガバンクを辞めて市長選に立候補、今度は都知事選と似ている感じがする。こんな田舎の市長が都知事選に出て注目されるなんて、まさに“石丸劇場”ですね」
 と安芸高田市の職員は嬉しそうに話す。

 人口2万6千の市長から、1400万の都知事を目指す。その石丸市長には、選挙に強い小池知事が壁となる。

 17日の会見でも、小池知事への対抗心が垣間見えた。16年の都知事選で小池知事が掲げた、「満員電車」「介護離職」「待機児童」などをなくすといった「7つのゼロ」の公約に触れて、こう言った。

「小池知事の公約、ゼロを掲げられていますが、ほとんど人口集中過密に原因があります。見ていると、全部が対症療法で、ものすごくコストをかけながら、なかなか結果が出ない。多極分散、東京の過密を解消することによって、東京都を世界で一番住みやすい街にする。これを東京で追求することが、地方の活性化につながる。一石二鳥、一挙両得、小池知事の言葉を借りれば、『アウフヘーベン』ですか」

 政治のエンタメ化を明言してきたことについては、こう語った。
「政治のエンタメ化、単に面白おかしく茶化せばいいという軽薄なものではありません。エンターテインメントはもてなすということ。もてなしの意識は本来政治であるべき。政治家がインフルエンサーになるような時代がきたとも感じている。それほど政治への関心が薄れています」

 石丸市長は東京には基盤がなく、選挙事務所などを探している真っ最中。選挙戦略の基本は、「SNSやYouTubeの力を借りて人を集める」という。
「選挙が終わってから、投票率下がりましたってニュースで報道される。悲しくなりませんか? 都知事選は投票率を上げるんですよ、爆上げしましょう」

 小池知事のお株を奪う、石丸市長の“サプライズ”出馬で、都知事選はどうなるのか。

(AERA dot.編集部・今西紀之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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