1973年の第4次中東戦争の影響で、日本ではガソリンが急騰し、「オイルショック」に。トイレットペーパーの買いだめなど社会が混乱した
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 イスラエルの空爆が続くイスラム組織ハマス支配下のパレスチナ自治区ガザ。ガザの人道危機は中東の政治危機を引き起こしてきた歴史がある。日本で暮らす我々も無関係ではいられなくなる事態の再来が危惧されている。AERA 2024年5月20日号より。

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 4月13日夜、ハマスの支援国として知られるイランの革命防衛隊がイスラエルに向けて300発超の弾道ミサイルやドローンなどを発射した。イスラエル軍がシリアにあるイラン大使館を空爆し、イラン革命防衛隊司令官など数人が死んだ攻撃に対する報復だった。

 イランが事前に発射を発表したこともあり、米軍とイスラエル軍はほとんどを迎撃し、死者はなかった。イスラエルは5日後にイラン中部を攻撃したが、こちらも被害は出なかった。

 両国の戦争の危機はひとまず去ったが、世界に緊張が走ったこの一件で、一時は原油価格が上昇。革命防衛隊が「戦争になればペルシャ湾のホルムズ海峡を封鎖する」と警告していたためだ。日本の輸入原油の8割が同海峡を通るため、もし戦争となれば、第4次中東戦争を機に始まったオイルショックの再来ともなりかねない。

 第4次中東戦争は、イスラエルとエジプト・シリアをはじめとするアラブ諸国との間で勃発した戦争だ。奇しくもハマスの越境攻撃のちょうど50年前の73年10月6日に始まった。

 当時、湾岸アラブ産油国は戦争に呼応して、イスラエルにパレスチナ占領地からの撤退を求め、イスラエルを支援する米欧諸国への石油禁輸を決定。それは「オイルショック」となり、日本では人々がトイレットペーパーを買いに走るなどの騒動になった。今回のガザ戦争も中東危機につながる可能性は大いにあり、その結果、新たなオイルショックを引き起こすことも十分に考えられるのだ。

 87年、ガザでパレスチナ人の第1次インティファーダ(民衆蜂起)が起きた。パレスチナ人の少年がイスラエルの戦車と石礫で対峙するイメージが世界に拡散した「石の革命」だ。

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