確定申告の時期になると、レシートの整理に追われる人が多いのではないでしょうか。そこでよく直面するのが「この領収書は経費になるのか」という疑問。税理士・廣岡実さんの著書「お金と税金のことが90分でわかる本」(アスコム刊)から、経費になるもの、ならないものについて解説します。
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飲食店の夫婦の食事代は経費にできるのか?
夫がシェフで妻が経理を担当しているご夫婦です。仕事の後に2人で食事に行った場合、この食事代は経費にできるのでしょうか?公私にわたるパートナーだから、会話の内容には子どもの将来のこととか、ご近所とのお付き合いの話、日常生活のいろいろな話題が上がってくるでしょう。
でも、一緒に仕事をしているのだから当然、仕事の話題も全体の何割かは占めるに違いありません。だとすれば理論上、2人の食事代のうち何割かを経費とすることができるはず。
これを会計用語で支出した金額を「按分」するといいます。
実務的に考えて、食事代が1万円だったとすれば、このうち5000円を経費として処理し、残りの5000円は社長への貸付金として処理をします(帳簿上は「事業主貸」となります)。
ひとりランチや保育料は経費にできるのか?
経費にはそもそも売上に貢献するとしても「社会通念上」認められないものもあります。例えば、お昼に食べた牛丼だって、スーパーで買った食材だって、食べないと仕事にならないから売上に貢献している、と言い張ることもできそうですが、これは「社会通念上」経費と認められないのです。
普通に考えてそれは経費でなく「生活費」ですよね、ということです。
仕事をするために子どもを保育園に預けた場合の保育料はどうでしょうか。現在の税法の中では保育料は「家事費」と判断されるため、経費に入れることはできません。