また、ホストクラブで借金を背負わされ性産業に入る女性が増えている現実がある一方で、ホストクラブが「男性の夢」として紹介されていた。人気のホストは月4000万円から6000万円を売り上げるという。ナンバー1を競う男たちが、「貧しい家庭で育ち、学歴もなく、社会的な信頼もないオレ」が、一気に「勝ち組」になれるシステムが「ホストクラブ」と堂々と語る。そしてそれは唯一無二、日本にしかないビジネスであることを誇らしげに紹介するのだった。ホストクラブで搾取され、性産業に入るしかない女性の姿は全く見えない。

「外国人」が描く日本社会を見ていると、既にこの社会は性産業なくしては、経済も、「男の夢」も成り立たなくなっているのだと気が付かされる。それはつまり、女を搾取することと日本の経済成長と、男の夢は表裏一体ということだ。番組ではホストとして一世を風靡した男性が、「(成り上がりたいなら)日本語を習って、日本に来てホストになったらいい」とカメラの前で話していたが、これほど怖く幼稚なことがサラリと言える空気そのものが、既にもう、この社会が違う次元に行ってしまっている証拠だろう。幼稚と暴力がビジネスになる国、ジャパン。日本のガラパゴス化はとどまることなく、私たちの社会を侵食している。

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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