写真はイメージです(Getty Images)
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作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、外国人が捉える日本の社会について。

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 この1カ月間、ドイツのジャーナリストチームと行動を共にする日々が続いた。伊藤詩織さんや、私が書いた記事を英語で読み、日本のフェミニズムに関心をもった若いドイツ人女性が1カ月間日本に滞在し、「日本の今」を記録してくれたのだ。

 ちょうどこの1カ月は、フェミニズムへの激しいバックラッシュの日々と重なっていた。もちろん、バックラッシュは今に始まったことではない。2000年代はじめの頃も酷かった。私自身、行政が主催するイベントで性教育ワークショップを行ったことから新聞で誹謗中傷記事を書かれ、殺害予告に悩まされる日々を送った。あまりのことに抗議の電話をしたが、「事実しか書いてないけど、何が問題でした~?」と言い放った記者の半笑いの声は今も耳に残っている。率直に、気持ち悪かった。

 00年代の凄まじいバックラッシュの中心にいたのが、故・安倍さんだった。当時は統一教会との関係など全くわからなかったが、「ジェンダーは危険な思想」(改めて意味わからないですね)という意識はあっという間に浸透し、「ジェンダー」という言葉を使うのも大変な時代になった。あの時代が女性の人権問題をどれだけ後退させたかわからない。だからこそ今、Colaboへの攻撃に屈してしまったら、またこれからの20年間も停滞してしまうかもしれない。そういうなかで、「今」を記録するために来日してくれたドイツ人ジャーナリストたちのカメラが心強かった。

 カメラは、バスカフェの継続を求める女性たちの運動だけでなく、Colaboを妨害する男たちにもインタビューした。ドイツ人にマイクを向けられる男性たちが誇らしげにインタビューに答えていたのが印象的だった。「男は男、女は女、脳のつくりが違うんですよ」と堂々と語り、「平等を求めるなら、女も戦場に行けよってことですよ」と鼻の穴を膨らませるような男の声が「妨害者」の声として流れることで、日本で起きていることが鮮明に伝わる衝撃は大きいだろう。

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「日本のかわいさ」と「暴力性」に混乱