寅子のモデルとなった三淵嘉子

三淵さんに教わった「常に寄り添うこと」

 犀川さんは、60年あまりの弁護士人生で、消費者問題や少年事件などを数多く手がけた。
 ダイヤモンドの「買い戻し商法」で破産したココ山岡事件では、被害者救済弁護団の代表を務め、信販会社へ支払ったクレジット代金59億円のうち25億円を取り返した。抵当証券を販売して1100億円あまりを集めて経営破たんし、日本で2番目に被害金額が大きいとされる「大和都市管財」グループの巨額詐欺事件でも、被害者救済のために奔走。大和都市管財の抵当証券業の登録更新を続けた国の責任を国家賠償請求訴訟で認めさせた。また、家庭裁判所の調停委員を10年間務めてもいる。

「三淵さんは、アメリカの司法制度を視察されて、日本で家庭裁判所の創設にご尽力されました。少年や家事事件に寄り添う『愛の裁判所』とご自身で表明されています。私も少年事件や消費者救済に携わる中で常に寄り添うことをモットーとしたのは、三淵さんから教わったこと、ご指導に影響を受けたところがあると思います」

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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