5月9日は「ご(5)くう(9)」(悟空)と読む語呂合わせから「悟空の日」。鳥山明さんの原作のコミック「ドラゴンボール」のアニメ作品である『ドラゴンボールZ』の面白さと、その主人公の「悟空」というキャラクターの魅力をさらに多くの人に知ってもらうことを目的に日本記念日協会により認定・登録されたそう。鳥山明さんに関する過去の記事を振り返る。(「AERA dot.」2024年3月12日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)
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「ドラゴンボール」、「Dr.スランプ」などの大ヒット作で知られる漫画家の鳥山明さんの急逝が3月8日発表された。68歳だった。アニメ・漫画に詳しいYahoo!オーサーの河嶌太郎さんがその偉大すぎる功績を振り返った。
鳥山さんは、1978年に『週刊少年ジャンプ』の読み切り作品でデビューしたのち、80年には「Dr.スランプ」を世に送り出した。翌年、「Dr.スランプ アラレちゃん」としてTVアニメ化され大ヒット、社会現象を巻き起こした。
この大ヒットは、それまで漫画作品のTVアニメ化に積極的ではなかった少年ジャンプ編集部にも影響を与えたといわれている。というのも、「Dr.スランプ」以前は「アニメを放送すると、漫画を読まなくなる」という見方が強かったのだ。だが、TVアニメをきっかけに新しいファンが増え、原作コミックスはもちろん、グッズの売り上げも上がることがわかるようになる。
漫画原作などを軸に、複数のメディアを組み合わせた「メディアミックス」の手法は、今ではどの出版社でも当たり前に行われているが、鳥山さんの作品こそその原点であり、アニメ大国・日本の礎を築いたといっても過言ではないだろう。
さらに84年に連載が始まった「ドラゴンボール」は、「Dr.スランプ」以上の社会現象を引き起こす。作品がコンスタントに入れ替わる週刊少年ジャンプ誌面において、漫画家が2作続けて大ヒットを飛ばすことは異例といっていい。
漫画の単行本の売り上げは全世界累計で2億6000万部。この記録は後に「ONE PIECE」と「ゴルゴ13」に抜かれることとなるが、当時は金字塔だった。また、アニメやゲームなどを含めたシリーズ全体の展開でみると、累計の経済効果は230億ドル(3.4兆円)以上といわれる。これは日本の漫画市場1位となる数字だ。