山田よね(土居志央梨、左)と猪爪寅子(伊藤沙莉)。NHK連続テレビ小説「虎に翼」より(写真:NHK提供)

 (2)寅子の恩師=糸子の父=小林薫。気が弱いくせに殴る蹴るの暴君から一転、進歩的かつ穏やかな法学者に。(1)と(2)だけで、「カーネーション」ファンは頬が緩んでしまうのだ。

しんどそうな女性たち

 最後に一つ、「虎に翼」で気になっていることを書く。通りを歩いている女性たちが明るくないのだ。

 例えば甘味処(よく出てくる)への道の途中、セーラー服の小学生らしい女子が歩いている。後ろから詰め襟の男子2人が走ってきて、その子をからかう。別の日、その女子が泣きながら歩いている。お茶の水あたりの橋もよく出てくるが、そこを歩く女性のしんどそう率が高い。

 寅子は法律という道を見つけたお嬢さんだ。恵まれている。そうでない女性がたくさんいる。そのことを通りすがりの女性たちが表している。勝手にそう解釈し、将来の寅子への期待を一層ふくらませている。(コラムニスト・矢部万紀子

※AERA 2024年5月13日号

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