「地動説」は、今の私たちが知っている宇宙のあり方を解明し、到達する大きな一歩となったのです。

 コペルニクスに始まる発見は人類の宇宙観や世界観を一変させたので、「コペルニクス的転回」という言葉が生まれました。

 地球は宇宙の中心ではないことを発見し、受け入れたとき、天文学は、そして科学は、大きく発展しました。これはあなたの人生やビジネスにおいても、まったく同じことが言えます。

「人のため」は人生・ビジネスを良い方向へ導く

 あなたは、この世界の中心ではない──このことを受け入れたとき、初めて、あなたの人生やビジネスは、幸せになる方向へと動き出していくことでしょう。

 それは、「自分中心」から「人のため」へのシフトです。現代でも、「相手の立場」に立って考えなさいとよく言われますね。でも、それほど難しいことって、実はないんです。

 紛争を長年続けている国同士なんて、視点を変えることが双方にとって難しすぎて、議論も対話ももはや成り立たないわけでしょう。では、いったいどうすれば、相手の立場に立った「見方」へと変えられるのでしょうか?

 私がたどり着いた結論は、考えを真逆にしてみること。

 いくら頭でわかっていたとしても、人間は自分中心の「天動説」で見てしまうもの。それを承知のうえで、自分の考えを真逆にしてみると、正しくなることがよくあります。

 平らに見えたこの地球は本当は丸いし、2万㎞先にいる人は、実は上下さかさまになっている。そういうものなのです。

 自分が「正しい」と思うことは、たいてい「間違っている」。

 自分が「間違っている」と思うことが、意外と「正しい」。

「自分の考え」にこだわりすぎないで、これくらい柔軟に構えておけばいいのです。すると、自分中心の殻から抜け出し、正しい方向へと進むことができます。

 私自身もサイゼリヤの視察をしているとき、ふと「つくる側」「売る側」の立場で見ていることに気づきます。こんなに何度も「人のために」と、あちこちで言っているにもかかわらずです。

 人間は不完全なのですから、そんなものです。そんな弱さも含めて、自分が大したことのない愚かな人間だと思っておきましょう。

 そうすると自分の考えに固執しないですむので、「あ、自分中心になってしまっていた」とすぐに気づいて、「人のために」と切り替えていくこともできるのです。

(正垣 泰彦:サイゼリヤ創業者)

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