6月の有給取得日を決めて、労働時間を短く刻む

 GWが終わり、夏休みまでの祝日のない2カ月間を元気に駆け抜けるため、私はこの時期、産業医として積極的な有給休暇の活用をクライエント社員たちに説いています。とくに休職を経て、4月に職場復帰した人たちには、あらかじめ6月に有給休暇の取得日を決めておくことで、2カ月間の労働期間を小さく刻み、心身の体調をととのえることをお願いしています。

 昼間、働いているとき、私たちの身体は緊張状態にあります。自律神経で言えば、交感神経が優位な状態です。多くは仕事が終わると、この緊張が和らぎリラックスモードになります。これをオフタイムといい、自律神経的には副交感神経が優位になっている状態です。

 自律神経は私たちの意志でコントロールできるものではありません。一般的には、睡眠中は副交感神経が最も優位で、心身が最もリラックスしています。そして、朝起きて出社すると次第に交感神経が優位になってくるという、無意識のサイクルでわれわれは日常を過ごしています。

「メリハリ」が自律神経をととのえるには重要

 健康な時は、この交感神経と副交感神経のバランスが上手に取られています。しかし、この交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、自律神経がうまく機能しなくなってしまうのが、俗にいう自律神経失調症です。原因はさまざまですが、必ずしもストレスが原因とは限りません。明らかなストレス原因がなくても、交感神経の優位な状態が長く続きすぎる、つまり、長期間緊張しすぎる状態が続くと、次第に自律神経が疲弊してしまい、機能不調(不全)に陥ってしまうと考えられています。

 そうならないためには、日常生活の中で、適度に緊張を緩めること、つまり、緊張状態とリラックス(弛緩[しかん])状態を適度に経験することが大切です。よくいう「メリハリ」ですね。緊張を積極的に緩めることで、私たちの体は再び緊張状態(仕事)に戻ることができるようになっているのです。毎日の仕事後のリラックスタイム、週末のリラックスタイムなどの時間は自律神経をととのえるためにも、とても大切なのです。

 このメリハリの重要性はわかっていても、なかなか忙しい日常生活の中では、オンとオフの境目がわからない生活を送ってしまう人もいます。性格的に真面目すぎる人や責任感が強すぎる人などは、特にオフタイムにも仕事を引きずり、上手に緊張を和らげることができないでいます。

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