子宮体がんの手術でも、ロボット手術を含む腹腔鏡手術が増えています。

「進行しているケースや大きな筋腫を合併している場合などは、開腹手術が必要です。当院では開腹手術とロボット・腹腔鏡手術の割合が半々ぐらいです。地域や病院により差はあると思いますが、この10年で腹腔鏡手術やロボット手術の普及はだいぶ進み、ほぼ全国的にどこでもおこなえるようになっていると思います」

 子宮体がんでも、妊娠を希望する場合、がんが子宮内膜にとどまっているごく早期で悪性度が低いタイプでは、子宮や卵巣を温存する治療を選択できることがあります。ただし、条件や再発リスクなどを十分に理解した上で決めることが必要です。

卵巣がんは自覚症状が少なく進行して発見されることが多い

 卵巣がんも50代に多くみられます。初期にはほとんど症状がなく、進行するとおなかの張り、下腹部にこぶのような腫(は)れなどがみられ、「約60%が進行がんで発見される」と寺尾医師はいいます。

 超音波検査やMRI、CT、PET-CTなどの画像検査、血液検査などで卵巣がんの疑いがある場合は、まず手術をおこない、できるかぎりがんを取り除きます。卵巣は骨盤の奥にあり、外から組織を採取することができないため、手術で摘出した卵巣の組織を調べて確定診断と病期診断をおこないます。

 卵巣がんの手術は開腹手術となりますが、最近では、手術でがんをすべて摘出できるかを判断するため、また、組織診断や遺伝子検査をおこなうために腹腔鏡手術をおこない、その結果によって、手術前にがんを小さくするための薬物療法をおこなうこともあります。また、多くは手術後に薬物療法をおこないます。

 卵巣がんは進行して発見されることが多く、進行がんでは5年生存率が低く、再発も多いがんといえます。一方で、薬物療法の効果を得られやすい特徴もあり、近年では一般的な抗がん剤に加え、分子標的薬など新しいタイプの薬が多く登場しています。

「以前は再発との闘いでしたが、新たな薬の登場によって再発が減り、根治できる人も出てきています。特定の遺伝子変異がある人に効果が出やすい分子標的薬なども登場しており、これからは遺伝子検査をして一人ひとりの患者さんに適した治療を考える個別化医療がさらに進むことが期待されます」

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遺伝性の病気により起こる卵巣がんもある