江戸川の河口で貝を獲る人々。白く見える浅瀬は群生したカキの殻=市川市、米倉昭仁撮影

 彼らは獲ったカキをその場でむき、殻を川や河川敷に捨てた。膨大な量のカキ殻が放置され、水辺で遊ぶ子どもたちがけがをする事故も発生した。

 藤原さんが仲間とともにカキ殻を回収したところ、なんと150トンにもなった。昨年、市川市はカキ殻の不法投棄を5000円の罰則付きで禁止する条例を施行した。

 同じ日、記者が現地を訪れると、アサリやハマグリなどを獲っている人々がいた。ほとんどが日本人だった。

「昔はカキがいっぱいあったんだけど、獲り尽くしちゃったんですよ」と、藤原さんはため息をつく。

 岸辺の草むらには大量のカキ殻が残され、漁業権で管理されない水産資源の行く末を物語っていた。

この木杭の列の右側がアサリなどの採取が禁止されている漁業権が設定された区域。杭には警告表示が取り付けられているが、そこで引き返す人は見なかった=船橋市、米倉昭仁撮影

「うっかり密漁」で前科がつく

 漁業権があり掲示を出していても、一般人によるレジャー密漁はむしろ増加している。千葉海上保安部の担当者は、漁協から取り締まり強化を要請されているという。

「レジャー感覚の密漁であっても法令違反が確認されれば、粛々と捜査します」(海保の担当者)

 潮干狩りや磯遊びの延長の「うっかり密漁」でも、前科がつく可能性は十分ある。初夏のレジャーは気をつけて楽しみたい。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)