確かに、近隣のサウジアラビアやアラブ首長国連邦、カタールといったイランと同じように砂漠が広がり、雨の少ない国々では、海水を淡水化することが定着している。いずれの国も主に豊富な原油や天然ガスの輸出によって財源を生み出し、淡水化の事業を進めてきた経緯がある。ただ、淡水化には多くのエネルギーが必要で、環境に負荷がかかっていることはおさえておきたい。

 そうした湾岸諸国に比べて財源が乏しいイランでは、話が簡単に進みそうにない。それでも、現状では淡水化の計画を進める以外に、水不足と地盤沈下を止める道はなさそうだ。

「事業を進めるうえで日本の研究機関の協力も得たいと思っています。必ず成功させたいです」

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飯島健太

飯島健太

1984年埼玉県生まれ。2007年、早稲田大学を卒業後、朝日新聞社に入社。奈良・高松の各総局、大阪社会部で主に事件や災害を取材。2017〜18年にイギリスのロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)国際政治学修士課程に在籍し、修了。2020年4月、テヘラン支局長に就任後、同年10月から2023年1月まで同支局に赴任。同年2月から大阪社会部で事件の取材を担当

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