御坊市長選で長男・俊樹氏(右奥)が敗退。支持者らにあいさつする二階氏(2016年5月)

「後継は長男だと思っていた」

 二階氏の地元和歌山県は、次期衆院選で現在3つある県内の小選挙区が2つに減ることが決まっている。党は新2区の公認候補に二階氏を決めていたが、二階氏の不出馬表明で白紙になっていた。

 実は、三男の伸康氏より、長男の俊樹氏が後継ではないかという声が地元では多かった。長男の俊樹氏は2016年に御坊市長選に出馬して敗退したが、その後も政界進出を狙いつつ、二階氏の名代、筆頭秘書として地元事務所を取り仕切ってきた。

 二階氏の政治団体「二階俊博新風会」の幹部が4月10日ごろから、「後継には俊樹氏で」と地元の町議や市議らに支援を求めていた動きもあった。

 町村会メンバーのある町長は、
「政治団体の幹部は『俊樹氏はオヤジのあとは自分しかいないと思っている』『出馬準備もはじめている』と言っていたので、二階氏の家族でも俊樹氏で話がついているのかと思っていた。町村会幹部からも、事前に伸康氏に要請するとは聞いておらず、驚くばかりや」
 と話し、こう危惧する。

「地元では二階氏の名代といえば、俊樹氏。陳情ごとはなんでも俊樹氏が仕切っており、後継は俊樹氏だと思っていた人も少なくない。そこに町村会が伸康氏に要請して、本人も出馬の意欲満々という。二階氏は町村会とは以心伝心というほどつながりは強固なので、裏で『伸康で』と手をまわしたのだと思います。しかし俊樹氏も一度決意したら簡単にはひっくり返すような人物ではないので、解散総選挙となれば伸康氏に弓を引き、出馬するかもしれない。二階家が兄弟で戦い、分裂しかねないので、ヤバイ」

 そしてもう一人注目されるのが、裏金事件で自民党から「離党勧告」を受け、離党を余儀なくされた世耕弘成前参院幹事長だ。かねて参院から衆院へのくら替えがささやかれていた世耕氏。衆院選に出るなら同じ新2区からとみられている。二階氏の兄弟が争うことになれば、世耕氏に有利に働くはずだ。

「離党後はこっそりと県内をまわっているが、無所属なので止めようがない。衆院への色気でいっぱいだと聞く。世耕氏がくら替えで次期衆院選に出馬するとなれば、新和歌山2区は大混乱だ」(前出の町長)

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旧二階派はバラバラに