AERA 2023年4月10日号より
AERA 2023年4月10日号より

 日本でもベストセラーとなった韓国の小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の主人公も出産を機に仕事を辞めた「経歴断絶女性(経断女)」だ。韓国は世界的に見ても大学進学率が高い国だが、特に女性の大学進学率(21年)は81.6%と、男性(76.8%)よりも高い。高学歴の女性が多い一方で、出産・育児を経て再就職できずにいる経断女が多いのは、社会的損失でもある。韓国政府は「出生率0.78ショック」を受け、経断女の再就職支援に加え、そもそも出産や育児を理由に仕事を辞めずに済むよう支援する方針を打ち出した。

■「産まない」が4割

 金さんの周りには、「DINK(ディンク)族」も少なくないという。ディンクは「Double Income No Kids」の頭文字による略称で、子どもを産まない共働き夫婦を指す。出産・育児の経済的負担を考え、子どもを産んで得られる幸せよりも、余裕のある暮らしを選択する夫婦が増えているのだ。

「公的な出産祝いや多子世帯への支援金を大幅に増額するなど、経済的負担が減れば、産もうと思う人も増えるのでは」(金さん)

 中央日報によると、全国の20~39歳の男女800人を対象に実施した調査の結果、「子どもを産む意向がある」と答えた女性は41.9%、「子どもを産まない方がいい」と答えた女性は41.7%で同程度だった。「必ず産みたい」は28.9%に留まり、「必ずしも産まなくてもいい」が66.9%と圧倒的に多かった。男性は女性より子どもがほしいと考える割合が多かったが、「必ずしも子どもがいなくてもいい」が44.8%に上り、男女とも、子どもを産み育てることが当然ではなくなってきたのが分かる。

 また、晩婚化が進んでいるのも、少子化の要因の一つだ。韓国統計庁によると、昨年40~44歳の女性の婚姻件数は1万949件で、20~24歳女性の1万113件を上回った。

 結婚7年目の会社員女性(38)は「子どもを産むのはあきらめた」と話す。結婚当初は出産も考えていたが、共働きで忙しく過ごすうちに7年が過ぎた。

「産むなら2人産みたかったけど、2人で養育費6億ウォンは共働きを続けても無理」

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