双方の親も、以前は孫を期待していたが、今は「2人仲良く暮らせばいい」と理解を示してくれるという。女性は「経済的に十分な教育を受けさせられないぐらいなら産まない」と話す。夫婦2人で自由を謳歌(おうか)したいというよりは、消極的な理由だ。
一方、ソウル在住の会社員女性(39)は「以前は結婚、出産も考えていたけど、今は一生独身でもいいかなと思っている」と話す。以前結婚、出産を考えていたのも、本人の希望というより「親に孫の顔をみせてあげたい」という方が大きかった。
■苦闘する友人の話聞き
一生独身でも、と思うようになったのは、子育て中の友人らの話を聞く限り、「現実的でない」と感じるようになってきたからだ。「よっぽど結婚相手に経済的な余裕がない限り、子育ては難しい」と言う。女性はマーケティングの仕事で海外へ出張するなど、やりがいを感じながら働いている。だが、育児のために仕事を辞めた友人も少なくない。仕事を続ける友人も、ベビーシッターの月額が本人の月給と同じくらい高く、「何のために働いているのか分からない」とぼやいているという。友人たちの悪戦苦闘を横目に、「子どもを産まないなら結婚する必要性も感じない。旅行など趣味を楽しみながら生きていきたい」と話す。
(ライター・成川彩=ソウル)
※AERA 2023年4月10日号より抜粋