インタビューに応じるディランさん。結果的に彼の精子は大人気だった(撮影/大野和基)

理系の男性が好まれる

「physical characteristics(身体特性)については、自分の兄弟などに男性がいる場合は、その男性に似た人を選ぶ傾向があります。家族に男性がいない場合は、外見が自分の好みの男性や、子どもにもそういう外見になってほしいと思う男性を選ぶ傾向があります。身長は180~190センチが最も好まれます。人種は自分と同じ人種を選びます。白人女性の場合は白人男性です。アジア系の女性の場合、白人男性を選ぶことも多いです」

 次いで、重要なポイントは“それまでのキャリア”だという。

「理系の男性が圧倒的に好まれます。プログラミングができるとか数学が得意であるとか。趣味も重要です。楽器を弾いているなど音楽の趣味がある人も好まれます。

 またhealth historyについて、他の条件が同じであれば、祖父母までの病歴が書かれているドナーが選ばれる傾向にあります。

 ですから、選ばれる基準として、重要な順序は、ドナーの外見、人種が同じくらい重要で、次にキャリア、趣味、病歴、ということになります」

 ディランは健康な白人男性で、両親ともに博士号を持ち、プログラマーだった。そして、間違いなく大人気のドナーだった。彼を超える人気ドナーがいる可能性があるが、彼は自身の子どもが100人近くいる、という現実に誠実に向き合おうとしている。

子どもに父親のことを尋ねられ…

 冒頭の、ディランにインスタグラムでメッセージを送った女性には、娘が2人と息子が1人で、子どもが3人いる。なぜディランに連絡を取る必要があったのだろうか。

「彼女が自分の頭のいい、好奇心旺盛な子どもを育てるのに、遺伝上の父親としての私に関する情報が2ページ分しかないことが原因です。子どもに父親のことを尋ねられ、子どもの好奇心を満たすだけの情報がなかったと、本人から聞きました」

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