――エージェントなどを介さずに、直接企業に応募しましたか?
中西 3回目の転職では、以前に在籍していた会社が求人していることを知り応募しました。すでに内情を知っている安心感もあったのと、エージェント経由のようにたくさんの連絡メールが来ることもないので落ち着いて転職活動に臨めました。一方で、年収などの条件の交渉を自分でしなければならないのは、負担に感じました。ただ、自分の場合過去にキャリアアドバイザーを経験していたこともあって、正当な主張はしっかりした方がよいこともわかっていたので、そこは不要な謙遜はせずに臨みました。
鷹取 エージェントなど外部委託を介さない直接応募は、企業にとってコストも軽減できてより多くの選択肢と出会えるのではないか、という考えで動いてみたことはあります。ただ、相手先企業の情報を集めたり、求められる人材像と自分のスキルとのすり合わせをしたりなど、必要な準備を自分でするのは難しかったという印象です。
齋藤 私の場合は、直接応募するという概念がありませんでした。でも、経験者のお話を聞いてみて、志望する企業が明確になっているなら、自分で調整すべきことが多くて大変でも、直接応募する価値はあると思いました。
――企業の求人に直接応募する際、気をつけることはなんでしょうか?
中村(採用担当) エージェント経由ならば、初めて出会う企業であっても担当者から詳しい情報が得られるのに対して、直接応募の場合、応募者は、自分で企業の情報を調べなくてはならないので、負担は大きいと思います。目当ての企業で実際に働いている人の話を聞くなど、事前の準備が大切ですね。
給与などの条件の交渉も個人と企業が直接やりとりすることになるので、意思表示をあいまいにせず、コミュニケーションをしっかりとって建設的な関係を築く努力が必要です。
一方、採用する企業からすると、エージェントなどを介さず、自前で人材獲得できればコストも抑えられて理想的です。ただ、1次的なスクリーニングがない分、多様な人材が応募してくる可能性が高くなります。多様な人材と出会うのはメリットである一方、選考に時間がかかるという側面もあるでしょう。