鈴木涼美さん

 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。
 

【写真】鈴木さんの超ほっこりな出産祝い

Q. 【vol.12】本当の友達が何か分からないワタシ(30代女性/ハンドルネーム「カレーライス」)

 学生時代の友人と20代、30代になっても関わりをもつ中で、セールスや宗教勧誘、ものづくりをしている子からは、作品を買ってほしいなどの声がかかることがありました。私自身、友人関係で金銭のやりとりが発生するのが嫌なのと、仕事でもプライベートでも、セールス、宗教、ものづくりといった活動はしていないため、友達に声をかける感覚が分からず。内心少し嫌な気持ちになりました。相手が良いと思っているものを私に勧めてくれている、という気持ちも酌み、嫌な気持ちにさせないような断り方をしたのですが、断るとその後ほとんどの友人と連絡が取れなくなってしまい、何度か落ち込んだ経験があります。

 学生時代の友人はとても貴重な存在で、大切にしたいという気持ちがあるのですが、考えが合わない人とは、キッパリと縁を切るべきでしょうか。それとも、食わず嫌いせず、いったん相手の要求を受け入れてみるのがいいのでしょうか。これ以上、大切な友人との関係を失いたくないと思っています。涼美さんの経験やご意見をぜひ伺いたいです。

A. 別の信仰のままいられるのが友人の利点。

 考えが合わない人と友人関係を結ぶべきではないとすれば、自分のクローンみたいな友人しか残らず、個人的にそんな生活はとても楽しいと思えません。友人とは、お互いに別の信仰を持っていたとしても、そしてそれぞれが相手の信仰をまったく信じる気がなく、クソみたいなものだと思っていたとしても、尊び敬える相手のことだと私は思っています。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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