校舎や施設をリニューアルした早稲田中学校・高等学校。伝統を継承しつつ、生徒たちにどのように活用してほしいのか、先生の思いを聞いた。AERA 2024年4月15日号より。
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1895(明治28)年、大隈重信の教育理念のもと、坪内逍遥(初代教頭)らが創立した早稲田中学校・高等学校(東京都新宿区)。
早稲田大学の附属・系属校の中でも最も古い伝統を誇る同校は、創立125周年の記念事業として、理科室が入る「3号館」と、スポーツ施設を集約した「興風館」を建て替えた。
教頭の鈴木正徳教諭は、建て替えのコンセプトについて、「これまで中学棟や高校棟など、各校舎が独立していましたが、新3号館と新興風館を中心に据え、全校舎をつなぎ一体化させました」と話す。建て替えにより、校舎間の移動がスムーズになり、中高の生徒が思い思いに集まる空間も生まれたという。
「他校を6~7校拝見し、良い部分は積極的に取り入れました。ガラス張りにしたことで校内は明るく、教員と生徒の距離も近づきました」(鈴木教諭)
プールは床暖房完備
新校舎は、3号館と興風館が各階渡り廊下でつながり、中央が吹き抜けになっている。新たな3号館には、物理・化学の実験室が各2室、生物・地学の実験室が各1室、情報教室が2室、多目的室が2室、そして学習室が設けられた。
新興風館は、1階に食堂と図書館、2・3階に1千人を収容できる「誠ホール」、4階に柔道場・剣道場、5・6階にアリーナ(体育館)のほか、屋上運動場からなる。運動スペースの創出にも工夫を凝らした。
「地下にプールを設けることでグラウンドを拡張、伸び伸びスポーツに取り組めるようにしました」(同)
新しい設備を利用した生徒たちからも「壁や床が真新しく、気持ちよく過ごせる」「物理実験室の黒い机を見てワクワクした」「屋上運動場からは、夕焼けとともに街を一望できる」「床暖房完備のプールは11月でも快適」といった感想が届く。「新校舎になるので進学を決めた」という生徒も複数いた。