「やりすぎ」が仇に?

 世耕氏は自らの処分について、まさか離党勧告という厳しいものになるとは想定していなかったとされる。二階氏が記者会見で政界引退を表明した後、急激に世耕氏の処分が厳しいものになるとする報道が相次いだ。同じ安倍派の参院議員によると、世耕氏は「どうしてそんな処分になるんだ」「岸田首相は何を考えているのか」とかなり怒っていたという。

「世耕氏は最大派閥安倍派の参院のトップに君臨して我が世の春だった。4月4日の数日前まで、処分をひっくり返すとも言っていた。ただ、岸田首相に対してやり過ぎたことで、厳しい処分につながったように思います」

岸田首相。考え込む姿が多くなってきた

 昨年10月、代表質問に立った世耕氏は、

「支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーとしての姿が示せていないということに尽きる」

「国民が岸田政権に対し、もう一つ物足りないと感じているのはスピード感」

 などと政府を批判した。これが「やり過ぎ」という理由の一つだ。

「岸田首相はかなりムッとしていた。その後に安倍派などの裏金事件が表面化。そりゃ厳しい対応に傾きますよね」(官邸関係者)

 世耕氏にとっての想定外はさらに続く。4月6日に行われた近畿大学の入学式。理事長を務める世耕氏は挨拶に立ち、

「激しい社会における自分の立ち位置をしっかり把握してください」

 と激励した。このスピーチが厳しいバッシングを浴びることになった。

 立憲民主党の蓮舫氏は〈ご自身の立ち位置が見えていない方に言われても…〉と早速反応。SNSでは世耕氏関連のキーワードが急上昇した。

 逆風からの起死回生を期す世耕氏に対して、二階氏は悠然と構えているようだ。

「安倍派も二階派も同罪。安倍派が責任のなすりあいをする中で、絶妙のタイミングで政界引退を表明した二階氏の潔さが際立った。引退表明によって、岸田首相も二階氏には処分が打てなくなったが、世耕氏には厳しくやれるようになった」

 宏池会の職員から自民党政務調査会の調査役を長年務めた田村重信氏は そう分析する。

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二階氏、やはり一枚上手か