「嬉しかったようで、塾に行きたいと言い出しました。あちこち見学に行き、自分で決めた塾で、勉強だけでなく、人生論まで教えてくれる大学生の講師に出会って、ぐんと伸びました」
長男は、都内随一の進学校である開成高校に合格。同じ頃、藤原さん自身も管理栄養士になるために大学進学を決意し、受験勉強を始めた。朝食とお弁当を作って子どもたちを送り出し、家事と仕事をこなしながら、YouTubeで生物や化学をやり直したり、息子に小論文を添削してもらったりして猛勉強。夕方以降は子どもたちの帰宅に合わせて夕飯を出し、塾への送迎などに追われる日々。疲れて、メイクをしたままダイニングの長椅子で眠り、そのまま朝を迎えたことが何度もあるという。
「私のそんな姿を見て、子ども自身もちゃんと勉強しなきゃと思ったみたいです」
加えて、知り合いの会社経営者など様々な人を自宅に招き、子どもたちと一緒にご飯を食べる機会を作ってきた。長男は高校時代に、ある若手弁護士に「俺みたいにモテたかったら、東大に行け」と言われ、スイッチが入ったという。中高一貫校に通う高校2年の次男は最近、長男の同級生に刺激を受け、海外大学進学を目標にするようになった。
「身近な成功者に会わせることは、幼い頃から勉強させたり、中学受験の塾にしばりつけるよりも100倍学びがあったと思います。子どもを成功させたくないですか? 一日一日の積み重ねが全て結果につながっていく。だから、頑張ってほしいです。でも、自分が疲労困憊だとどうしようもない。ママファーストでいいんです」
そう言って、約40個の餃子を丁寧に包んでお土産に持たせてくれた。ポジティブなエネルギーをたくさん受け取り、来た時よりも元気になった帰り道。餃子は子どもたちと一緒にとっても美味しくいただきました。
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2024年4月15日号