ファッションのテーマ「80年代のドラマに出てくる、家でくつろいでたらともだちと急に集まることになって急いで出かける子」

 今でも忘れられない出来事があります。晩御飯のときお母さんが準備をして、「ご飯ができたよ」とみんなを呼んだんです。それでいただきますをして食べ始めたときに、お父さんが「みそ汁が熱い!」と言って怒り、席を立ってしまったんです。「熱いなら事前にそう言え」と。お父さんのような人とは絶対に結婚したくないなと思いました(笑)。

 私の中で理想の人の条件を挙げていくと、カワイイ系で、偉そうにしない人で、一緒に全部やってくれて、私のことを立ててくれて……と見た目から内面までお父さんと正反対の人になります(笑)。ryuchellはお父さんとは真逆の人で、「こんな人、本当におるんや」と思うくらい、私の中では理想的な人でした。

 お父さんは子どもの考えをしっかりと尊重してくれる人でした。私が高校を卒業してファッションを追求するために「東京に行く」と言ったときも「がんばりや」という感じでした。ryuchellと同棲するときにお父さんにryuchellを紹介しましたが、そのときも反対されませんでした。(お母さんがうまく根回ししていてくれたんだと思います)

 ryuchellとのこれからの形を伝えたときも、本来のお父さんなら「うちの娘になんてことするんや」と怒っていたように思います。ただ、私たちが「新しい家族としてやっていくことを決めた」と話したら、「それやったら、それでいい」と受け入れてくれました。ただ、「息子のことだけはしっかりとやりや」とも言ってくれました。

 お父さんは子どもたちを信じて応援してくれる存在でした。そういったところでお父さんの愛を感じました。

 お父さんもお母さんも共通していたのは、親の気持ちを押し付けたりしない、子どもたちの思うことを一番大切に考えて行動してくれる点だと思います。私が大切にしている価値観はこういったところから来ていると思います。

(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

暮らしとモノ班 for promotion
【Amazonブラックフライデー】先行セール開催中(28日23:59まで)。目玉商品50選、お得なキャンペーンも!