芸人になったばかりの頃の宇治原さん(事務所提供)

「高学歴」が芸人になるということ

 予定通り(?)、見事京大に合格した宇治原さん。大学時代の思い出を聞くと、何とも京大らしい“怪しげ”なエピソードを語ってくれた。

「今はいないと思いますけど、自分が在学していたときには、学年に1人、全講義のノートを集めているやつがいたんです」

 そして、定期テストの時期が近づくと、その人物が“暗躍”し始めるのだという。

「テスト前になると、その人間がネットワークを使って、各講義のノートを集めだすんですよ(笑)。京大法学部の地下にロッカーがあって、そこにノートのコピーが入ってるんです。ロッカーには鍵がかかっていて、その人物にたどり着かない限り、開けることができないようになっていて。僕の記憶だと、一度だけなんとかその人物にたどり着いて、助けてもらったことがあります。いくつかノートのコピーを借りて、大学周辺の安いコピー屋さんでコピーして、原本を返してってやってました。なんやこのグレーな組織はって思いましたね(笑)」

 宇治原さんといえば、高学歴芸人の先駆けといえる存在だ。今でこそ、東大、京大、早慶などの難関大や有名大出身の芸人が増えてきたが、当時はあまりいなかったのではないか。そう思い尋ねると、「いたとは思いますよ。ただ、表立って言うことがなかったんだと思います」と振り返る。

「タモリさん、(ビート)たけしさん、それからくりぃむしちゅーさんとか。その方たちは学歴を言ったり、使ったりする必要がなかったと思いますが、学歴を言ってしまうと面倒だった時代ということもあるんじゃないでしょうか。僕も経験したからわかるんですけど、学歴を明かすと『なんでお前、吉本(興業)なんか行ったんや』とか『芸人になるなんてもったいない』っていう話を一回挟まないといけなかったんです。だから、いわゆる高学歴の方もたくさんおられたと思うんですけど、あんまり話題にしてなかったのかなって」

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