吉田の首位打者争いも
「前田投手の強みは投球術ですよね。細かい出し入れと緩急を織り交ぜて技術力が高い。ケガで離脱しなければきっちり結果を出すと思います。菊池投手は左腕で150キロ中盤の直球を投げられるのが最大の武器。ア・リーグ東地区は打高投低なので、投手は他のリーグに比べてタフな戦いになる。防御率が相対的に上がるのは仕方ないです。ケガで長期離脱がないことも価値があります。先発ローテーションを飛ばさないのがチームにとって一番助かりますから」
野手に目を移すと、吉田正尚(30、レッドソックス)、鈴木誠也(29、カブス)、ラーズ・ヌートバー(26、カージナルス)の活躍が注目される。吉田は移籍初年度の昨季打率2割8分9厘、15本塁打、72打点をマーク。フルスイングが魅力だが、オリックスで首位打者を2度獲得しているように本質は中距離打者だ。今年は首位打者争いに期待がかかる。鈴木は昨季打率2割8分5厘、20本塁打、74打点とすべての指標で22年より高い数字に。ヌートバーも打率2割6分1厘、14本塁打、46打点と確実性が大幅に改善され、自己最多の11盗塁をマークした。両選手はチームの中軸から、球界を代表する選手になれるか。
山口氏が「最後に……」と言及したのが、DeNAで共にプレーした筒香嘉智(32、ジャイアンツ傘下)だ。米国でプレーして5年目。メジャーでなかなか結果を残せず、今季もジャイアンツとマイナー契約で開幕ロースター入りはかなわなかった。「自分のやることを貫き通している。米国で挑戦し続けている姿に尊敬します。活躍してほしいですね」。言葉に強い思いがこもっていた。(ライター・平尾類)
※AERA 2024年4月1日号より抜粋