杉村達也(すぎむら・たつや)/1986年12月29日生まれ。37歳。千葉県千葉市出身。2014年弁護士登録。本八幡朝陽法律事務所所属。コンピュータ将棋ソフト「水匠」開発者。趣味はキャンプ(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 かつて実施されていた法科大学院適性試験で、杉村の成績は全国2位だった。テストはいつもよくできていた?

「いえいえ。それを言うとですね、伊藤匠七段のお父様の伊藤雅浩先生(弁護士)は司法試験1位ですから。伊藤七段が奨励会員だった頃、弁護士業界のつながりでお父様から『将棋の研究用のパソコンはどれがいいですかね』と尋ねられたことがあります」

 現在のAIは司法試験の問題も解ける?

「短答というマークシート式の方は、相当解けるようになっていると聞きます。論文式でも、いずれ人間のトップに追いつくのかもしれません」

 将棋AI開発には時間や経済的なコストがかかる。一方で「儲かるんですか?」とよく聞かれると思いますが。

「『はい!』っていいたいところなんですけど、残念ながら儲かるようなことはありません(笑)。現在、強いAIの多くは無料で公開されていて、パッケージソフトが売れる時代はもうずいぶん前に去っています。将棋AI開発を職業的にメインにしてる人は、ほとんどいません。じゃあなんでみんなやってるかというと、好きだからでしょうね」

 ところで婚活の進捗は?

「最近、がんばってるんです。でも成果はありません(苦笑)。結婚されている事務員さんに『これでいいですかね?』と自己紹介をチェックしてもらっています」

 趣味が「コンピュータ将棋開発」とは書いている?

「もちろん書いてないです。不利にしかならんでしょう(笑)」

(構成/ライター・松本博文)

AERA 2024年4月1日号

著者プロフィールを見る
松本博文

松本博文

フリーの将棋ライター。東京大学将棋部OB。主な著書に『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ