かつて実施されていた法科大学院適性試験で、杉村の成績は全国2位だった。テストはいつもよくできていた?
「いえいえ。それを言うとですね、伊藤匠七段のお父様の伊藤雅浩先生(弁護士)は司法試験1位ですから。伊藤七段が奨励会員だった頃、弁護士業界のつながりでお父様から『将棋の研究用のパソコンはどれがいいですかね』と尋ねられたことがあります」
現在のAIは司法試験の問題も解ける?
「短答というマークシート式の方は、相当解けるようになっていると聞きます。論文式でも、いずれ人間のトップに追いつくのかもしれません」
将棋AI開発には時間や経済的なコストがかかる。一方で「儲かるんですか?」とよく聞かれると思いますが。
「『はい!』っていいたいところなんですけど、残念ながら儲かるようなことはありません(笑)。現在、強いAIの多くは無料で公開されていて、パッケージソフトが売れる時代はもうずいぶん前に去っています。将棋AI開発を職業的にメインにしてる人は、ほとんどいません。じゃあなんでみんなやってるかというと、好きだからでしょうね」
ところで婚活の進捗は?
「最近、がんばってるんです。でも成果はありません(苦笑)。結婚されている事務員さんに『これでいいですかね?』と自己紹介をチェックしてもらっています」
趣味が「コンピュータ将棋開発」とは書いている?
「もちろん書いてないです。不利にしかならんでしょう(笑)」
(構成/ライター・松本博文)
※AERA 2024年4月1日号