杉村達也自身の将棋の実力はアマチュア初段から二段ぐらい。慶應義塾大学在学中、将棋部に入ることはなかった。「渋谷・道玄坂の焼き鳥屋でバイトをしてました」(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 AERAの将棋連載「棋承転結」では、当代を代表する人気棋士らが月替わりで登場します。毎回一つのテーマについて語ってもらい、棋士たちの発想の秘密や思考法のヒントを探ります。36人目は番外編で、コンピュータ将棋開発者・杉村達也さんです。AERA 2024年4月1日号に掲載したインタビューのテーマは「私のルーティン」。

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 杉村達也は、現代トップクラスの強さを誇るコンピュータ将棋ソフト「水匠」の開発者として知られている。

「冬に開催される電竜戦という将棋AIの世界大会では、2連覇を達成できました」

 杉村は将棋界との交流も深く、自身のYouTubeチャンネルには、多くの棋士がゲストで登場している。

「これまで渡辺明九段、佐藤天彦九段、千田翔太八段、佐々木勇気八段、高見泰地七段、谷合廣紀四段などにお越しいただきました」

 杉村の本職は弁護士。現在は千葉県市川市の本八幡朝陽法律事務所に所属し、さまざまな案件を担当している。

「千葉県は全国でも比較的、裁判員裁判が多くて。最近はその準備でかなり忙しかったんです。一般の方が裁判員を務められるので、パワーポイントを使ってプレゼン用の資料を作成したり。東京の弁護士は専門性が大事だと思いますけれど、こちらではわりとなんでもやります。いい味を出すファミレスのうなぎ? そうですね(笑)」

 杉村は現在、独身で婚活中。YouTubeでは「結婚もしてないのに、離婚のことがわかるの?」と視聴者に尋ねられていた。

「それはもう、もちろんです。離婚される方をたくさん見てきたので、さすがに離婚については詳しいです(笑)」

 現在の仕事と、趣味のコンピュータ将棋開発は、どこかリンクするところはある?

「まったくないですね(苦笑)。弁護士、裁判の分野にももちろん、AIは入りつつあります。高校時代に軽音部で同級生とバンドを組んでまして、私はギターでした。仲のよかったドラムも弁護士になり、いまは契約書をレビューするAIを作ってる会社の創業者で、私と違って、弁護士業にAIを役立ててます。うちの高校(県立千葉高)は司法の分野に進む卒業生は多いです。ボーカルは検事、もう1人のギターは医師の道に進みました」

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松本博文

松本博文

フリーの将棋ライター。東京大学将棋部OB。主な著書に『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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