※写真はイメージです(gettyimages)

ワーキングホリデー制度を有する英語圏の中でも高水準の賃金が魅力のオーストラリア。約1年間に渡ってワーホリで過ごしてきた男性が見つけた“人生の楽しみ方”とは?※本稿は、上阪徹『安いニッポンからワーホリ! 最低時給2000円の国で夢を見つけた若者たち』(東洋経済新報社)の一部を抜粋・編集したものです。

日本で働く未来に希望を見出せず
ワーホリ制度で月50万稼ぐ24歳

 メルボルンを皮切りに、2022年6月から約1年にわたってワーホリで過ごしてきた男性に話を聞いた。塩野嘉也(SNS名/世界のカナル)さん(24歳)だ。

 現地に着いて3カ月で、語学学校に紹介された時給31豪ドル以上というレストランの仕事で月50万円稼ぎ、わずか1年足らずで200万円以上を貯金したことで、SNSやメディアでも話題になった。月に40万円、貯金したこともあったそうだ。

「ワーホリで稼げるなんて、まったく思っていませんでしたから、びっくりしました。時給が世界一のレベルだということは知っていましたが、英語力もTOEIC460点くらいでしたし。語学学校に行く間に英語力を伸ばして、その後に仕事を見つければいい、くらいに思っていたんです」

 ところが、1カ月半ほどで求人サイト「indeed」で、寿司工場の仕事を見つけた。スーパーに並ぶ巻き寿司をつくる仕事だ。

 英語力が求められていなかったことと、時給が27豪ドルとそこそこ高かったことで応募したら、「明日から来て」ということになった。

「それで2週間ちょっと働いて、もらったのが日本円にして20万円くらいの額だったんです。難しい仕事ではなかったです。それこそ、誰にでもできる仕事で、そこまで働いていないのに、2週間で20万円というのは衝撃でした」

 大学を卒業し、新卒で入社した会社の手取り給与を、2週間で軽く上回ってしまったのだ。

 故郷の愛媛県で大学を出て、地元のITコンサルティングの会社に勤務していた。会社を1年で辞めることにしたのは、自分に嘘がつけなかったからだ。

「日本で働いて、描ける未来を想像したとき、まったくワクワクできなかったんです。思い返すと、日本というステージに飽きてしまっていたのだと思います」

 まわりを見ても、みんなそこそこ幸せそうにはしていた。とんでもなく楽しそうか、と言われると、そうではないかもしれない。しかし、そこそこは楽しそうに見えた。

「この先も、日本で働いて描ける未来を想像したとき、生活はしていけると思うんです。でも、そこに本当にワクワクはあるのか、それは本当に楽しそうかと考えたら、それは違うとはっきり思いました」

 英語が好きで、大学時代、留学するつもりだった。ところが、コロナ禍で行くことができなかった。ワーホリでいろんな国に行くことを想像したら、これは楽しそうだな、と思った。

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