猫ミームが人気だ。なぜ、人は猫ミームに惹かれるのか。猫動画で“デジタル猫吸い”にいそしんできた働き盛りの記者が、猫ミームの偉大な効用を真面目に分析した。
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動画を通じて猫吸いする日々
隙あらば、猫動画を見てきた。キャットタワーに登り損ねるおっちょこちょいな猫を見て微笑み、疲れたときはまどろむ猫に「あなたも眠いの~」と心の中で声をかけていた。猫と暮らしてはいないけれど、動画を通して“猫吸い”をしてきた一人だ。
そんな記者の心をここしばらくつかんで離さないコンテンツが、「猫ミーム」だ。
猫ミームとは、「猫の動画」を組み合わせて作ったショート動画のこと。TikTokやYouTubeに数多くアップされている。「ブラック企業を辞めるまで」「新卒看護師の日常」「自衛官の一日」など、日常生活に関連したテーマが多いようだ。
つい先日のことだ。「あの仕事、なぜもっと早くできなかったのだろう」と自分を責め、「人生詰んだ」とばかり、軽く絶望して打ちひしがれていたとき、ある猫ミームが脳裏によみがえった。
うつむき気味のキジ猫が自信なさげに「ニャア」と鳴く。困り果てているような姿に、これまで幾度も「その気持ち、わかるよ」と共感してきた。今の私って、あの猫と同じかも。そう思うと、ちょっと気持ちが緩み、笑いも出た。
共感できる「あるある」が猫になった
猫ミームの“素材”は、さまざまな動画から切り抜かれた、特徴的な動きをする猫たちだ。頭を抱えて甲高い声で鳴く子猫、立ち上がってぴょんぴょん跳びはねる猫、ノーと叫ぶ茶トラ、カリコリとフードをかみ砕く猫、低音で返事をするふとましい白猫、猫パンチを食らわせる猫……。それぞれにBGMもついている。
猫ミームラバーという30代の男性会社員は言う。
「誰もが『あるある』と共感できる感情が『猫』で表現されていて、親しみやすい。とっつきやすいし、つい見てしまう」
男性のお気に入りは、アヴリル・ラヴィーンの「ガールフレンド」に合わせて踊る猫。仕事がうまくいったときの達成感や、おいしいものを食べたときの高揚感が想起され、見るだけで気分がアガるという。
なぜ、猫ミームが人気なのか。