五十嵐亮太(いがらし・りょうた)/1997年、ドラフト2位でヤクルトスワローズに入団。ニューヨーク・メッツほかMLBでも活躍し、日米通算で史上4人目となる900試合登板を達成。2020年に引退(写真:事務所提供)

 大谷翔平ドジャースでの新シーズンが開幕した。今季は打者専念でどんな成績を残すのか。元メジャーリーガー五十嵐亮太さんが語る。AERA 2024年4月1日号より。

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 多くのファンと同じように、僕も今季の大谷選手にはさらなる大活躍を期待しています。

 キャンプから現地で見ていると、打席に立った時に非常にリラックスしているように感じます。もちろん力強さはあるんですが、力みがなく自然体。通常、新しいチームに入ると、チームカラーを探りながらスタイルを合わせていかなきゃとか、多少力が入るものですが、手術をしたひじの状態も含め順調にきている証しだと思います。

 今季は打者専念でどんな成績を残してくれるのか。キャリアハイは46本塁打ですが、50本塁打は夢ではなく、現実的な数字として想像できます。そして、今年は走塁にかなり力を入れているようです。投手をやらない分どこに余った力をつぎ込むかと考えたとき、走ることへの意識が例年よりも強くなっていると感じました。30盗塁は記録してもおかしくありません。

 大谷選手がどの程度数字にこだわるかはわかりませんが、僕らを常に驚かせるような存在だし、そうありたいという意思を持ってプレーしていると僕は思います。トリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)、もしくはフォーティー・フォーティー(40本塁打、40盗塁)とか、狙えるところは狙ってくるのではないでしょうか。ここまでの起用法を見ていると打順は2番が濃厚で、1番を打つベッツは出塁率が高いので走者がいる場面での打席はおのずと増えるはずです。さらに後ろにはフリーマンが控えていることで大谷選手が勝負を避けられることも少ないでしょう。打点も伸びるのではないかと見ています。

 ただ、ドジャースからすれば10年間という大型契約をして獲得した選手。長く活躍してもらいたいし、打撃専念だからといって負担を考えずに毎日出場させるということはないでしょう。ドジャースはエンゼルスとは違い、年間を見据えて戦えるチーム。大谷選手自身は試合に出場したい気持ちが強い選手ではありますが、シーズン中はひじのリハビリも並行して行うでしょうし、ある程度球団が調整しながら出場するという形になると思います。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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