製品に直接必要な材料や部品であればどの製品に紐付くかは明らかです。これが「直接材料費」です。直接材料費以外にも、例えばイスの製造に紙やすりや接着剤を使っていれば、これらは「間接材料費」になります。

 労務費についてはどうでしょうか。製品の製造に直接携わっている作業員の賃金は「直接労務費」です。一方で、製造機械の保守作業など製品の製造に直接携わっていない作業員の賃金は「間接労務費」です。

 材料費と労務費以外にも経費がかかります。これも「直接経費」と「間接経費」に分けられます。例えば、あるイスの製造工程で一部の加工を外注しなければならない場合があります。そのような外注加工費は製品に紐付けできますから「直接経費」になります。一方で、製造部門の通信費・交通費・交際費、水道光熱費、さらには不動産賃借料や減価償却費などは「間接経費」になります。

 直接費はどれも直接製品に紐付けできますが、間接費は何らかの形で各製品に配分しなければなりません。これを会計用語で「配賦」と言います。

 原価計算は売上原価をできるだけ正確に集計するためにあるのですから、配賦するにしても、売り上げた製品と関連を保っていると言える合理的な方法で配賦する必要があります。しかし、それぞれの間接費がある製品を製造するためにどれだけ使われたかを正確に測定する方法はありません。

 そこで、例えば一つの方法として、各製品の製造にかかった時間の比率で配分するという方法がとられるのです。直接費は直接各製品の原価に紐付け、間接費は配賦という形で各製品の原価に紐付けていきます。これが「製品別原価計算」の具体的な方法論です。

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「部門別原価計算」とは