※写真はイメージです(Getty Images)

 どんな分野でも専門家でないと理解しがたいことはある。会計もその一つだ。しかし、そんな会計について、「会計の専門家ではない人に管理会計の全体像とその基本的な考え方を理解してもらいたい」というのは、米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBAを取得し、経営コンサルタントとして活躍する國貞克則氏だ。その一端を朝日新書『財務3表一体理解法 「管理会計」編』から一部を抜粋、再編集して紹介する。

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原価計算の全体像

 原価計算の解説本の多くは、「原価とは何か」から始まり、「原価の費目別計算」→「部門別計算」→「製品別計算」という流れで説明が進んでいくのが一般的です。ただ、会計の専門家ではない人が原価計算を学ぶ場合は、「売り上げた製品にかかった費用のみをどう集計するか」ということを基本に、まず「原価の費目別計算」と「原価の製品別計算」を学び、それに「原価の部門別計算」という考え方を付け加えて、原価計算の全体像を理解するのがよいと思います。

「原価計算基準」では、費用を「材料費」「労務費」「経費」の3つに分けて考えます。そして、それぞれが直接その製品にかかった費用(直接費)と、いくらかがかかったと考えることが合理的である費用(間接費)に分けます。

 ですから、費用は「直接材料費」「直接労務費」「直接経費」と「間接材料費」「間接労務費」「間接経費」の6つに分けて集計されます。これが「費目別原価計算」です。

 そして、最終的にはこれらの費用をどのように各製品の「売上原価」に紐付けていくかを考えていく必要があります。これがいわゆる「製品別原価計算」です。

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國貞克則

國貞克則

1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、鉄鋼海外事業企画部、建設機械事業部などで業務に従事。1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。日経ビジネススクールなどで公開セミナーやeラーニングの講座を担当している。著書に『新版 財務3表一体理解法』『新版 財務3表図解分析法』(ともに朝日新書)、『渋沢栄一とドラッカー 未来創造の方法論』(KADOKAWA)、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)などがある。

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