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 3月期決算企業にとって、優待や配当がもらえる権利が確定する「権利付き最終日」が間近に迫っている。今年は新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、「高配当株」や「優待株」に対する関心が高まり、人気の銘柄は特に注目を集めそうだ。そこで株式投資の専門家に、「権利落ち」の後も株価が値下がりするリスクが少なく、株価の上値の余地がありそうな銘柄を挙げてもらった。

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 3月期決算企業の今年の権利付き最終日は3月27日だ。優待や配当の面で人気の銘柄は、例年、権利付き最終日が近づくにつれ、取引が活発化するとされる。投資家が優待や配当がもらえる権利を得るには、この日にその企業の株式を保有している必要があるためだ。

むしろ値上がりが期待

 ただし、この日をすぎると「権利落ち」となり、その後の株価は優待や配当の分だけ値下がりする傾向がある。

 しかし、株式投資のベテランで、投資顧問会社エフピーアイ代表を務める藤ノ井俊樹さんは、必ずしもそうしたパターンをたどる銘柄ばかりではないと言う。

「増益基調が続いていたり、株価指標の面で割安だったりする銘柄は、今後、権利落ち後や相場全体が調整局面になっても、株価の回復スピードが速かったり、むしろ値上がりが期待できるものもあります」

 それはどんな銘柄か。藤ノ井さんが挙げてくれたのが下の表だ。

 このうち水産品大手の極洋は、昨年下落したカニなど水産物価格が持ち直すとともに、食品の値上げ効果も手伝って利益率は改善。最終利益は今期(24年3月期)こそ中国による日本の水産物の輸入禁止措置を受けた特別損失の計上が響いて減益となる見通しだが、来期(2025年3月期)は過去最高益を更新する見込みという。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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「化ける」可能性を秘めた銘柄