オールジャンル、オールタイムぶりにもほどがある(いい意味で)。サブタイトルが示す通りの、パピルスから電子書籍まで。人類が生み出した、“本”という文化を、100のマイルストーンでひもといていく大判の歴史図鑑。
いわゆる「名著百選」や「夏の文庫100」的ブックガイドではない。文字がまだ発明されていない旧石器時代の洞窟壁画、数学や天文学のはじまり、経典や楽譜、童話に地図に辞典。印刷という発明……本の歴史は、人類の文化の発展の歴史とほぼひとしい。「本」というシンプルな言葉の中にある、膨大な知識や文化、技術の発展の歴史。それらが怒濤のごとく頭の中に流れ込んできて、ごくごくシンプルな感想を抱く。すげぇな人類、と。そして、偉大なる歴史があることに、感謝。
さて21世紀。本は、紀元前の古代エジプトで発明された「紙」というフォーマットからも飛び出し始めている。それぞれの時代での革新を重ねて今がある。未来には、今は想像もつかない表現や形態をした「本」が、きっとある。
※週刊朝日 2015年10月23日号