学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)

 小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、バイオリンを弾けるようになりたい50代女性からの相談に答えてくれた。

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Q. バイオリンが弾けたらいいなと憧れていますが、50代から始めるにはハードルが高い楽器でしょうか。大人になってからバイオリンを始める人へ、アドバイスをお願いします。

A. バイオリンに限らず、楽器は一般的には小さい頃から始める人が多いですよね。たしかに子どものときに習うと絶対音感が身につくといわれ、上達も早いのですが、大人になってから習い始めることにもいい点はあると思います。

 私は今、特任准教授を務める国際教養大学でいくつか授業を担当しています。授業がすべて英語で行われる大学ですが、ひとつは「Music Beyond Borders(マクロ音楽学)」という科目で、教育やリーダーシップ、テクノロジーなどさまざまなトピックを音楽の視点から学ぶ内容です。

 そして、そのほかに担当している「Music Experience Through Practice」は実技科目。バイオリンを全く触ったことがない初心者の学生たちにバイオリンを教えることで音楽を通じたチームワークを教えています。身体で感覚的に覚える子どもと違い、大人になってから習うと頭で理解しようとします。それが裏目に出ることもあるかもしれませんが、例えば重心のかけ方や指の使い方などの説明を理解できるので、アドバイスされたことをしっかり実践できることはプラスに感じますね。担当した学生はみなさん学ぶ意欲もスピードもすごくて、学期の終わりの発表会ではback numberの「クリスマスソング」やジブリの曲をアンサンブルで演奏できるくらいになりました。なので、大人になってからバイオリンを始めるのも全然アリだと思いますよ!

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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