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「値上げによって、原材料の値上がり分や人件費の増加分を商品やサービスの価格に反映しても、消費者離れが意外と起きないことが分かり、価格決定権を取り戻すことができた企業が多い印象です。その結果、社員や給料を増やしたり、生産設備を増強したり、配当など株主への還元に回したりするのに必要な原資を稼げる体制になってきました。あとは、こうした動きが大企業から、中小企業までどこまですそ野が広がるか。日銀はいろいろなデータをみて、もっと広がると判断すれば政策転換に踏み切るでしょう」(三井さん)

『脱デフレ』を宣言

 株式市場ではマイナス金利解除の観測は、先週(15日までの週)、足元の株式市場ではネガティブに反応した。3月初めに1ドル=150円台だったドル・円相場は11日に同146円台まで円高が進んだ。15日には同148円台まで値を戻したものの、円高や金融引き締めへの警戒感から株は売られ、一時は4万円台に達していた日経平均株価は3万8千円台まで下がった。

 しかし三井さんは、日銀の政策転換は本来、ポジティブに受け止めていいのではないかと指摘する。

「マイナス金利の解除は『脱デフレ』を宣言するようなもの。いよいよ物価が上がる通常の世界に戻っていくということです。今までの日本は異常な状態でした。『インフレの時代になる』というと、今はまだ消費者は不安が先に立つと思います。でも値上がりするのはモノやサービスの値段ばかりではなく、給料だって同じ。収入が増え、今までよりもたくさん買い物ができるようになれば、企業の売り上げや利益はさらに増えます。利益の裏付けがある限り、それが支えとなって株価の上昇トレンドは続いていくでしょう」

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