防衛省が、武器取引反対ネットワークの杉原氏らの問い合わせに対して示した回答書。運用実証を行う外国製ドローン7機種中、5機種がイスラエル製だ(写真:杉原浩司さん提供)

 こうしたイスラエル製の武器を購入することについて、杉原氏は「大問題だ」と述べる。

「1月26日に国際司法裁判所がイスラエルに対し、国際法で禁止されたジェノサイド防止を求める暫定措置命令を発出し、それを受けた上川陽子外務大臣は『誠実に履行されるべきもの』との談話を出しました。つまり日本も命令を遵守するとの姿勢です。それなのに防衛省は1月に候補機を決め、3月まで契約国で実証実験を継続している。イスラエルの攻撃によって、ガザ地区ですでに2万人を超えるパレスチナ人が犠牲になった時期。普通の感覚ならイスラエル製は遠慮するところ、防衛省はまったく逆の動きをしている」

 民間企業ではすでにイスラエルの軍事企業との関係を見直す動きも出ている。2月に伊藤忠商事とその子会社が国際司法裁判所の暫定措置命令と上川外相談話を理由に、エルビット・システムズと交わした武器生産や販売促進に関する覚書を解消したのだ。それでも防衛省は導入に向けて実験を続けている。

「国の要望に基づいて武器を販売する民間企業がイスラエルの軍事企業との協力関係を破棄したのに、防衛省が依然として契約を継続している。イスラエルの武器は、実戦投入され、パレスチナの人々の命と引き換えに開発されたもの。それを税金で購入すれば、日本の市民がジェノサイドに加担していることになります」(杉原氏)

(ジャーナリスト・形山昌由)

AERA 2024年3月25日号より抜粋