スライムのデザインこそ「革命」だった/兵庫県淡路市のニジゲンノモリ ドラゴンクエストアイランドの入り口
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「ドラゴンボール」「Dr.スランプ」などのヒット作で知られる漫画家の鳥山明さんが亡くなった。漫画家だけでなく、ゲームのキャラクターやモンスターデザインも手がけた。「ドラゴンクエスト(ドラクエ)」シリーズは国民的RPGとして社会現象を何度も起こした。

【写真】ホイミスライムを大切そうに抱く桐谷美鈴、スライムと笑顔の松坂桃李

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 鳥山さんが生み出した代表的なモンスターデザインに「スライム」がいる。

 キスチョコのようなフォルムで、真ん丸の目玉、アルカイックスマイルを浮かべた口元が印象的なこのキャラクターを、きっと誰もが一度は見たことがあるだろう。

 鳥山スライムが誕生したのは1986年。初代「ドラゴンクエスト」が初出で、ゲームの序盤から登場するモンスターだ。いまや、このスライムは「ドラクエ」に留まらず、発売元のスクウェア・エニックスを代表するマスコットキャラクターのひとつになり、グッズも数多く展開されている。

鳥山スライムが革新したもの

 鳥山スライムは、「モンスター」を「キャラクター化」したという意味で、革新的だった。

 従来のスライムのデザインは、もっと違ったものだった。

 1981年に第一作が米サーテック社から発売されたパソコンゲーム、「ウィザードリィ」シリーズは、エルフ、ドワーフ、ホビットなどの種族や、戦士や魔法使いや僧侶といったジョブの概念など、「ドラクエ」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズにも多大な影響を与えたとされる。「ウィザードリィ」のフォーマットは40年以上を経た現在もなお、多くのファンタジー作品に受け継がれる、RPGの原型といえる作品だ。

 この「ウィザードリィ」でも、スライムは物語序盤のモンスターとして登場する。ただし、海外ゲームの例にもれず、倒すべきモンスターらしく、おどろおどろしいデザインだった。

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モンスターが感情移入できるキャラクターに