3月12日の都議会でも予算についての質問が出たが、都側は「都市の価値を高めるキラーコンテンツ」などとして、「東京の観光振興にとって極めて重要」などと強調した。
つまり、観光政策の一環であり、海外からの観光客増が狙いということのようだ。
ただ、都庁への投影だけで今年度が7億円という予算規模は、果たして効果に見合うものなのだろうか。
「特殊映像を作るのに億単位も仕方がない」と業者
そもそもプロジェクションマッピングをやるには、技術面から見てどのくらいの金額がかかるのか。
都内に本社を構える大手プロジェクションマッピングの会社関係者に、都庁に投影されている映像を見てもらい、印象を聞いた。
「10分から15分の長さで5パターンあり、合わせると1時間弱になります。プロジェクションマッピングという複雑で特殊な映像を作るにはかなりの手間が必要になります。億単位の費用がかかっても仕方ないのかなと思います。むしろよく5パターンを用意できたなという印象です」
とのこと。
投影に使う機材の費用については、
「パナソニックから、2千万円するプロジェクターを20台、5千万円のプロジェクターを20台、計40台を借りていますね。4月末までのレンタル代や整備費などでも数千万円を超える金額になるのではないでしょうか」
と語った。
2023年3月の議会で、立憲民主党の西崎つばさ議員は、
「予算要求の段階で、もともとの要求では5億円だったものが、予算案になったら17億5千万円にまで膨らんだ。いくら大規模のプロジェクションマッピングでも18億円というのは大きすぎる。費用対効果というものをしっかりと踏まえて事業を検討してほしい」
などと指摘したが、効果はいかがなものだろうか。
行政学が専門の中央大学名誉教授、佐々木信夫氏は、
「はっきり言うと、7月の都知事選向けの“小池流パフォーマンス”ではないか。費用対効果を証明できるなら、証明してもらいたい」
と語る。