藤原道長は、仏像をつくる日取りを安倍晴明に相談するなど、陰陽師の暦をかなり信頼していたようだ。晴明が投げた折り畳んだ紙が鶴に変化して、道長に呪詛をかけた陰陽師・蘆屋道満(あしやどうまん)のもとへ飛んで行った、ということもあったとされる。道長は晴明に命を救われたのだ。
他にも、政敵に騙された花山天皇を式神(使い魔)を用いて助けようとしたなど、晴明の活躍は虚実ないまぜとなって伝えられている。その伝説は御伽話や小説、ドラマ、ゲームなど様々なメディアを通じて現代まで語り継がれている。清明を祀る清明神社(京都市上京区)の鳥居にはいまも、陰陽道の「五行」の象徴として清明が用いた紋とされる「五芒星」が掲げられている。
(構成 生活・文化編集部 上原千穂 永井優希)