酒井若菜さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

女であることよりも「女優」であることが大事

「『本当によく耐えたね、偉かったよ』って、褒めてあげたくなる年代ですね。苦しいなかでも意欲的に頑張った時期もあって、そのおかげで作家業もやれるきっかけになったので良いこともたくさんありました。けど、自分の本心を出さないというか、グッと堪えるみたいなことを本当によく頑張ってくれたんです」

 30代は、「加齢」と向き合った年代だったという。

「エイジングサインが出てき始めて、その変化を自分で受け入れることに結構時間がかかりました」

 30代半ばを過ぎてまつげエクステをやめたという。外見に注目が集まる俳優という仕事をしている酒井さんにとって、この決断は簡単ではなかったと話す。

「20代半ばくらいからつけていたんですが、『これいつまでやるんだろう』って思ったんです。当時、苦労している役を演じることが多かったのに、まつげエクステを外せなくなってる自分がいて。それで、『40代になっても続けるの?』『美よりも大事なものがあるよね?』って自分自身に問いかけてみたんです。俳優という職業をやっていくなら、自分の加齢をちゃんと見せていけるようにならなくちゃいけないなと思って、外しました。いまでは年齢を重ねることは進化することだと考えています」

 それにより世間からの心無い言葉にもさらされたという。

「『劣化した』とかって、ネットですごく言われました。こんなに言われるならもう一回つけようかなって正直思ったんですけど、自分が受け入れてあげないと誰も受け入れてくれないような気がして、『はい、その通りです』って受け止めました。『私は“女”であることよりも、“女優”であることのほうが大事なんだ。正しい選択なんだ』って言い聞かせているうちにやっと受け入れられてきました」

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