酒井若菜さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

20代の自分は「抱きしめてあげたい」

 そのとき、他人ばかりを優先するのではなく、自分自身にもっと目を向けたほうがいいと強く思ったのだという。

「『もし酒井若菜ちゃんって子がここに一人でいたらどうする』って考えてみたんです。いままでの私って、この『酒井若菜ちゃん』をずっとスルーして、他の人の世話を焼いていた状態だったと思ったんですよ。脳内でそういうイメージをすると、『この子のケアをしてあげなきゃいけない』とか、『この子をそろそろ楽しませてあげたい』とかっていう気持ちになったんです。それが40歳でした」

 40代に入って、人生への考え方が変わったという酒井さんだが、10~30代はどのような年代だったと考えているのか。

 10代は「まっすぐ果敢に、夢に向かって走っていた」という。

「とにかく俳優になりたいという思いが強かったですね。いまの私だったらこんなに頑張れなかっただろうなって。すっごくリスペクトしていて、『超カッコいい、10代の私』って思ってます」

 20代はどうか。この年代は、「木更津キャッツアイ」や「マンハッタンラブストーリー」などの人気作品への出演が続いた。また、休業期間があったとはいえ、小説家としてのデビューも果たすなど、順風満帆な時期のように思える。

 しかし、その裏では苦悩もあった。酒井さんはそんな20代を「一番抱きしめてあげたい」年代と表現する。

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