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先述のニュースは私にとってはショックだった。徐々に母親の自覚が芽生えつつある自分自身を否定されたかのように感じたからだ。
私は働くことは嫌いじゃない。むしろ好きだ。自分自身の成長も、社会貢献の実感も仕事を通じて感じられるからだ。
妊娠が分かった当初も望んで授かった命だというのに、喜びの大きさよりも「1年も仕事を離れるのか」という不安の方が大きかったくらいで、「こんな自分は母親失格だ」と悩み、「いつ復帰するの?」という同僚からの何気ない言葉には「なるべく早く戻ります」と即答してきたくらいだった。
でも、胎動を感じるようになり、日に日に大きくなっていく自分のお腹に「ここに子どもがいるんだ」とやっと実感を持って思えるようになった頃から「それが私がなりたい本当の私なのか?」と疑問に思うようになってきた。
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周りから見るときっと健康な妊婦に見える私も、人知れず貧血になったり不正出血をしたり、それらを隠して仕事をしながらお腹の子どもを今日まで必死になって守ってきたのだ。
早くこの手で抱きしめたい、成長の過程を全てこの目に焼き付けたい……そう思うようになればなるほど、働くことはエゴなんじゃないかと、自分が嫌になることもあった。
でもどちらの自分のことも嫌いじゃないのだ。働くことが好きな自分と、母親の自分をなんとか両立させたいと、やっと気持ちに折り合いをつけはじめてきた頃に目にしたのが、この「育休延長不正利用の是正措置検討」のニュースだった。
このニュースを見て感じたのは、ルールの不正利用は悪だということは大前提として、「十月十日守り抜いた子どもの成長を自分の目で少しでも長く見たいと思うのは悪いことなのだろうか?」ということだ。
私自身は、現実的に働かないとご飯を食べていけないので、ルール通り子どもが1歳になるまでに保育園に預けられるよう保活をしているが、もし金銭的に問題がなく育休の延長が誰でもできるというのであれば、きっと延長を希望すると思う。
それに「わざと落選を狙っている人」と、「通える範囲に倍率の高い園しかなく、そこしかない人」をどうやって見極めるのか、それがこのニュースから私には分からなかったのだ。
倍率、つまり、保護者からのその園の人気・不人気にはそれなりの理由があるはずで、例えば不人気の理由が立地の問題ならばこちらの努力次第だけれど、人や保育環境の問題ならば一体どうすればいいというのだろう?