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人手不足や管理がずさんな保育施設での痛ましい事件をニュースで知るたびに、もしうちの近所がこんなところばかりだったら……と想像しては、まるで仕事と子どもの命を天秤にかけさせられているような気持ちになる。

私個人の話を一つ例に挙げる。実は最近、自宅から一番近くて立地のいい公立の認可保育園が民間委託されるということを、保活を通して初めて知った。しかも切り替え時期がもうすぐそこまで迫っているというのに、まだその委託先は決まっていないのだという。

妊娠前までは「子どもができたらここに通うのかな」なんて考えていたのにこのような現状なので、預け先の候補としてこの園は除外せざるを得なくなってしまった。

これからその他の園にも見学に伺う予定なのだが、これ以上候補から消さざるを得ない園がどうか増えませんようにと、今から不安な気持ちでいっぱいでいる。

預け先がなくて困っていた過去、そして預け先は増えているものの、実態として質が均一化されていない現在。政府には、私たちが「倍率の高い園以外を希望できない理由」についても目を向けてほしいと切に願っている。

私は働きたい。けれどそれは、大切な子どもを安心して預けられる場所があることが大前提なのだ。

「かがみよかがみ」での掲載ページはこちら(https://mirror.asahi.com/article/15189153)。

「AERA dot.」鎌田倫子編集長から

保活に関する不正のニュース。
批判になりがちですがその前に、「なぜ」を掘り下げ、当事者の気持ちや置かれた状況を考えてみる。個別のニュースから大きな社会課題につなげる視点がいいですね。背景に思いを馳せ、自分の経験に照らし合わせて表現する。エッセイの王道だと思いました。

それと、むぎながさんの「声」にも、私は好感がもてました。そのすっきりとした主張に、本心なんだろうと想像ができます。

“私は働くことは嫌いじゃない。むしろ好きだ。自分自身の成長も、社会貢献の実感も仕事を通じて感じられるからだ。”
“私は働きたい。けれどそれは、大切な子どもを安心して預けられる場所があることが大前提なのだ。”

メディアとしてしっかりと受け止めました。

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