大宮:なるほど。
小川:僕は体を動かすのもスポーツを見るのも好きだけど、体育会系のノリみたいなのは致命的に嫌いで。でも、なんで自分は部活が嫌なのかもよく分かってなかったんですね。
大宮:それをきっかけに、自分の気持ちに正直になっていったみたいなのはあるんですか。
小川:そうですね。本も、つまんなかったら、途中でやめるようになりましたよね。それまでは、一度手にした本は最後まで読んでたんですけど。
大宮:うーん、やめる美学!
小川:つまんない本を最後まで読むから、著者に対して怒るわけですよね。俺の時間奪いやがってって。でも、つまんなかった時点で読むのをやめれば、それほど怒りは湧かない。
大宮:なるほど。責任感とかで、嫌なことに不感症になってます。何か一個やめてみると、嫌だと感じやすくなったりしますかね。
小川:なると思います。嫌だと気づいてから、自分の感覚が遡及的に分かるというか言語化できるというか。
大宮:今後、こういうのをやりたいとか、あるんですか。
小川:やりたくないことがいっぱいあるって感じですよね(笑)。
大宮:聞いたことないです(笑)。
小川:とはいえ、生活していかなきゃいけないんですけど、やっぱり生活のこととかも、なるべく考えたくないですよね、本当はね。ただ自分が好きな小説を、好きな時間書いていくのが、理想形ですよね。
※AERA 2024年3月4日号