大宮エリーさんと小川哲さん[写真:本人提供(大宮さん)、写真映像部・高野楓菜(小川さん)]

 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。作家の小川哲さんは、ラグビー部をやめて「革命が起きた」と話します。

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大宮:会社員も大学の教授もやりたくないって思ったとき、どういうふうに“脱出”計画を練ったんですか。

小川:自分ができる仕事の種類って何だろうと考えてみて、僕がそのとき思いついたのは、ミュージシャンか漫画家か小説家ぐらいだったんですよね。

大宮:なるほど、そうなんですね。

小川:で、僕は絵が描けないし、楽器も弾けないし、歌も下手くそなんで、まあ小説書いてみるかみたいな感じですね、どっちかっていうと。

大宮:シンプルですね。生き方がすごくまっすぐというか、迷いがないというか。嫌いなものがあるって、はっきりしていていいんでしょうね。

小川:なかなか好きなものが見つからない人も結構いると思うんですけど、そんなときは「これが嫌いだ」とか、「これをやってるときはストレスだ」ということをなるべくしないってことから考えるのも、一つなのかなっていう気はしますよね。

大宮:日本人って我慢する傾向にあるじゃないですか。

小川:逃げたくても逃げられない状況にいる方とかもいるだろうし、僕も我慢しなきゃいけないときはあるし、嫌なことが全くない世界ってないと思うけど、本当に嫌なことからは逃げて生きるのがいいと思います。

大宮:私も、学校がすごい嫌いだったのに気づくのが遅くて。やめちゃ駄目だって思ってたんです。

小川:分かります、分かります。僕の場合は、高校でラグビー部をやめたときに、洗脳が解けましたね。それまで、嫌なことを自分からやめたこと、なかったんですけど。

大宮:洗脳が解けるタイミングがあったんですね。

小川:体育会系って、「最後までやるのが偉い」っていう文化があるんで。部活の日の前の夜、「あした雨になんないかな」とか祈ったりしてたんですけど、ケガしてラグビー部をやめるってなったときに、「あ、別に、雨かどうか気にする必要ないじゃん」って。嫌なことってやめればいいんだと、革命が起きましたね。

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