中学生ごろになると、精神的にはまだ子どもであっても、女性を妊娠させることもできるので、その責任の重さも教えました。そして、「パパとママになる心の準備がないうちには、気楽に性行為を行うのはあまり賛成できない」という話もしました。
現代社会は、性についての情報が氾濫しています。子どもたちが間違った価値観を身につけないうちに、性についても親とフランクに話せる雰囲気を作ることが大事です。
「学生は勉強していればいい。恋愛なんて時間がもったいない」という意見もあると思います。でも私は、人を愛する喜びは自然なことだから、怖がることも、避けることもないと言ってきました。もちろん恋愛は、実るときもあれば、振られるときもあります。でも、それもいい社会勉強であり、心が強くなるプロセスなのです。息子たちにはそれぞれ、中学校からなんとなく好きな子がいたようです。でもそのときは、ちゃんと紹介されたことはありませんでした。
高校からは三人ともアメリカに留学しましたが、私は息子たちを日本から送り出すときには、必ず笑いながら「 No Drinking, No Drugs, No Baby(飲酒やドラッグ、赤ちゃんを作ることはなし)ね!」と言っていました。
高校では、三人とも、真剣に付き合っていた彼女がいて、彼女たちは日本にもやってきました。そしてガールフレンドが出来ると、学業がダメなるどころか、彼らはお互いに励ましあって勉強して、むしろ学生生活が充実して、楽しくなったように見えました。
恋愛が勉強の邪魔にならないようにするためには、性の話をタブーにしないことです。適切な時期に恋愛や性についての話をすることが必要なのです。そして何よりも、相手を大事にする心を教えることです。
(歌手・エッセイスト アグネス・チャン/生活・文化編集部)