アグネス・チャン 1955年、香港生まれ。72年、「ひなげしの花」で日本で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、カナダのトロント大学(社会児童心理学)を卒業。85年に結婚。86年に長男、89年に次男、96年に三男を出産。この間に、米スタンフォード大学教育学部博士課程に留学し、教育学博士(Ph.D)を取得 photo 矢部ひとみ

 中学生ごろになると、精神的にはまだ子どもであっても、女性を妊娠させることもできるので、その責任の重さも教えました。そして、「パパとママになる心の準備がないうちには、気楽に性行為を行うのはあまり賛成できない」という話もしました。

 現代社会は、性についての情報が氾濫しています。子どもたちが間違った価値観を身につけないうちに、性についても親とフランクに話せる雰囲気を作ることが大事です。

「学生は勉強していればいい。恋愛なんて時間がもったいない」という意見もあると思います。でも私は、人を愛する喜びは自然なことだから、怖がることも、避けることもないと言ってきました。もちろん恋愛は、実るときもあれば、振られるときもあります。でも、それもいい社会勉強であり、心が強くなるプロセスなのです。息子たちにはそれぞれ、中学校からなんとなく好きな子がいたようです。でもそのときは、ちゃんと紹介されたことはありませんでした。

 高校からは三人ともアメリカに留学しましたが、私は息子たちを日本から送り出すときには、必ず笑いながら「 No Drinking, No Drugs, No Baby(飲酒やドラッグ、赤ちゃんを作ることはなし)ね!」と言っていました。 

 高校では、三人とも、真剣に付き合っていた彼女がいて、彼女たちは日本にもやってきました。そしてガールフレンドが出来ると、学業がダメなるどころか、彼らはお互いに励ましあって勉強して、むしろ学生生活が充実して、楽しくなったように見えました。

 恋愛が勉強の邪魔にならないようにするためには、性の話をタブーにしないことです。適切な時期に恋愛や性についての話をすることが必要なのです。そして何よりも、相手を大事にする心を教えることです。

(歌手・エッセイスト アグネス・チャン/生活・文化編集部)

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