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 へばね、愛子ちゃん、また遊ぼうね。茨田りつ子(菊地凛子)がスズ子(趣里)の娘にそう言うのを聞いて、涙がこぼれた。愛助(水上恒司)が死んだ時は泣かなかった私だが、茨田には泣かされた。なぜかはわかっている。私はシスターフッドに弱いのだ。

【写真5枚】スズ子と茨田をハメた鮫島。ブギウギ初の悪役?

 20週と21週は鮫島(みのすけ)という「真相婦人」記者を起点にし、最終的には「男には分断されない、女性同士の関係性」が描かれていた。20週はラクチョウのおミネ(田中麗奈)とスズ子、21週は茨田とスズ子。形は違うが、それぞれのシスターフッドが描かれた。

 いろいろ考えさせられた。一番大きかったのが、「女の対立」というのはいつの世でも面白がられるものだということだ。だから茨田が鮫島を逆襲したのには胸がスッとなったし、そこからスズ子との関係修復に動いたのがカッコよかった。謝り、なぜそうなったのかを語り、愛子に青森弁で語りかけ、それだけでも泣けたのに、最後にはスズ子のワンオペ育児を解決した。

 おかげで後味すっきりというか穏やかというか、そういう気持ちで22週を迎えることができるのだが、そこまでにあれこれ思ってしまった。整理しつつ、書いていく。

「おミネVSスズ子」「茨田VSスズ子」、どちらも流れは同じだ。鮫島がインタビューし、そこでの言葉の一部を脚色して掲載する。記事の見出しがアップになったので並べると、「ワテはパンパンの味方でっせ!」「ワテがパンパンを守る!」「フン!福来スズ子なんて歌手は終はりよ!」「福来、茨田 二大女王の泥試合!」――。おヨネはこの見出しの記事を見て、「アタイらを人気取りの道具にするんじゃないよ」と楽屋に乗り込んできた。

 週刊誌の記者を長くしていた私なりに分析するならば、鮫島はできる記者だ。正式インタビューと突撃取材の両方を使いこなし、スターの話を取ってくる。ニュースに対談と記事を自在に書き分ける。そして何といっても、女性同士の対立は売れる、それが骨の髄まで染み込んでいる。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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鮫島のセンサー、「女の対決」を挑発